OSAMU METAL 80’S Live Report In 初台Doors
ということで前回のバンドインタビューに続いてOSAMU METAL 80’Sのライブをレポート!前回のインタビューの回答や演奏曲からライブへの期待が高くなるばかりだったが、やっぱりただのトリビュートバンドに収まらない凄いものを見せつけてくれたライブだった。
開場するとステージ前にはファンが既にチラホラ。メンバーのデビュー当時からのファンから後追いでファンになった人、親子で見に来ている人も見られ、客層は幅広い。開演が近づくとフロアが最後部まで人が一杯になる大盛況!各々がこんやのライブへの期待を膨らませ、ザワザワと賑やかになってきたところでBGMとして流れていたAC/DCの音が大きくなり場内が暗転する……
ステージの幕にムービーが流れる。バンドのロゴに続いて各メンバーの姿が映し出され、歓声が湧き起こる。
そしてキーボードの印象的なフレーズと共に幕が上がる。本日の一曲目は「Separate Ways (Journey)」だ!
このイントロのフレーズはTVでもよく使われるので知っている人も多いだろう。音色も原曲に忠実だ。この瞬間「待っていました!」と言わんばかりにオーディエンスの表情がパッと明るくなった!皆この瞬間を楽しみにしていたのだろう、更に客席を煽るように他の楽器隊が加わり、伸びやかなNoBのボーカルが入る。Steve Perryと同系統の甘いハイトーンを聴かせるNoBの歌は聴く者を曲の世界観へ誘う。マイクスタンドを使ったアクションも正に80’Sを堪能させてくれる大事なパフォーマンスだ。
Bメロでキーボードの河野のコーラスが入り、原曲同様サビに向けて盛り上がっていく。NoBと河野のハモリはデビュー時からのコンビなだけに心地良くバッチリ決まっている。
サビに入るとベースの寺沢もコーラスに参加。ここまで来ると原曲の再現度が高過ぎてJourneyファンは思わずニヤけてしまうのではないだろうか?
メンバー全員が実力者とはいえ、ここまでオリジナルと遜色無いプレイを聴かされると続く曲への期待が高まる。
事前のインタビューで本気のカヴァーをしていると話していたが、その言葉に偽りのない熱い演奏だ。いくつかカヴァーバンドのライブを見たことがあるが、例え完コピしていても原曲を聴いた時のような衝撃や高揚感を感じることは残念ながら少ない。しかしオサメタは違う。演奏が上手いだけでなく、一つ一つのメロディーが生きる(生かす)術を知っているから原曲の魅力を同レベルまで再現出来ている。
一曲目からこんなに凄いものを見せられては他の曲への期待が高まるばかりだ。
客席も同じなのだろう、曲にノって既に最高潮か?というぐらい盛り上がっていた。
オープニング曲を終えて
「OSAMU METAL 80’Sでーす!」
とNoB。この時注目を集めていたWBCをネタに客席とのやり取りで場を盛り上げるMCは流石である。NoBが客席を煽る。
NoB「(元気な反応がないから)年齢層高いか?」
客席「高い!」
NoB「それ言っちゃあダメだよ(笑)俺達の平均年齢言おうか?」
今日は笑いがよく起こる。それもNoBのMCがお決まりの振りをするのではなく、客席とのコミュニケーションから出てくる言葉だからだろう。
NoB「OSAMU METAL 80’Sのルールを知っていますか?80年代のHard Rockカヴァーとか言いながら、全然80年代のカヴァーばかりじゃないです。この時点で既にルールを破っているんですけどその辺りの曲をね、『このバンドと言えばこの曲!』みたいな皆が盛り上がれる曲を出来るだけ選んできているので、『知らない』という曲があったらお叱りください…………シカトします!」
客席「(笑)」
バンドの紹介を関西人らしくしっかりオチをつけて始めたのは「It’s My Life (Bon Jovi)」。
NoBと河野が在籍しているMAKE-UPと寺沢の在籍していたBLIZARDと同じ年にデビューしたアメリカを代表するロックバンドの曲である。Richie Samboraのコーラスは河野が務めあげ、JonとRichieのハモリが見事に再現されファンは喜ばずにいられないだろう。
続けて披露するのは「Girl Goodbye (TOTO)」。TOTOの中でもロック色の強い一曲でキメの多いこの曲も難なくこなすメンバー達。注目すべきはSHARAがこの手のギターを弾いていることで、ファンにとっては貴重な瞬間だろう。
ここで藤井がMCを取ると客席から歓声が上がる。今日のパンツの御披露目だ。「ステキ!」と黄色い声援が上がり、ボディペイントにブラックライトを当てると赤色の怪しい模様が浮かぶ。
MCを挟んで披露されたのは「I Surrender (Rainbow)」、そして「Crazy Train (Ozzy Osborne)」と続く。Crazy Trainのイントロ部分でSHARAがギターをこれでもか!と弾き倒し、曲のテンションを上げていく。この曲では寺沢がコーラスを取り、SHARAはギターソロで自由奔放に、いつもより音を詰め込んだアグレッシブなソロを聴かせてくれた。
曲の終了後NoBがアコースティックギターを抱え、「修ちゃんが歌います!」と話しかけると客席から歓声が!
そしてカウントから始まったのは「Hard Luck Woman (Kiss)」。ちょっぴりセンチメンタルな気分にさせるこの曲に藤井のハスキーな歌はピッタリだ!客席も藤井の歌と曲との相性の良さにウットリ聴き入っている。そこへ入るNoBのコーラスワークが曲に彩りを加える。
この曲で一番心を持っていかれるのは藤井の高いところを歌うときに出る掠れたボーカルだ。Peter Crissと同じセクシーさを醸し出ている。
大歓声を浴びて終わった藤井のボーカル曲は今日のライブのハイライトの一つだろう。また聴きたいと思ったのは私だけではないはずだ。
余韻冷めやらぬうちに「Angel (Aerosmith)」が始まり、最初のチョーキング一発で空気がガラッと変わる。NoBの「俺の歌を聴け!」と言わんばかりの歌、SHARAの泣きのギターソロでグッと名曲の世界へ引き寄せられる。Hard Luck Womanとは違った味のこの曲に客席はすっかり虜になっていた。
続くは邦楽のカバー3連チャンのコーナーだ。以前にOSAMU METAL JAPANという企画で邦楽のみで構成されたライブがあったが、この日のこのタイミングで開催された。基本的にバンドとして洋楽のカヴァーを中心にプレイしているがメンバー曰く、実はこの邦楽カヴァーは好評とのこと。
始まったのは「六本木心中 (アン・ルイス)」。続いて「時の過ぎゆくままに (沢田研二)」「個人授業 (フィンガー5)」と繰り広げられる。「六本木心中」は原曲の時点で既にHardなRock n’ Rollなだけにバンドとの相性もバッチリだ。原曲よりもヘヴィな音に男の色気が重なって披露されたこの曲はNoBにとって「バブルを感じさせる」らしい。
「時の過ぎゆくままに」は彼ららしいHardなアレンジがされている。SHARAのギターがそう感じさせるのか、Earthshakerの曲のようにも聴こえる。カヴァーとはいえ曲を自分達のオリジナルと感じさせるくらいモノにしているのは百戦錬磨のメンバーだから成せる業だろう。
「個人授業」はHardなBoogieにアレンジされて「このメンバーだからこそ聴ける『個人授業』」だ。楽器隊はシンプルにビートを刻んでいるが、シンプル故にベースとドラムの存在感が大きく、全体を引っ張っていく一曲。そして日本語詩の3曲では様々な歌い方をしながらも歌詞をしっかり聴き取ることが出来るNoBのボーカリストとしての実力を改めて高いと感じさせる。
そしてセットリストも後半戦に入る。
「皆、飛べよ!」と河野が煽って始まったのは「Jump(Van Halen)」。誰もが知っているキャッチーなKeyのフレーズが流れる。サビではステージと客席が一体となってジャンプする場面もあり、ステージ上のメンバーと客席に笑顔が浮かぶ。
そして間髪入れずに始まったのは「Round And Round (Ratt)」。原曲ではツインギターが映えるこの曲をSHARAは一人で弾ききってしまう。ギター1本でも物足りなさを感じなかったのはSHARAのテクニック拠るものだけでなく、原曲には無い河野によるキーボードが音の薄さを感じさせないからだろう。
河野の活躍はまだ続き、「(You Can Still)Rock In America (Night Ranger)」のイントロが流れると、ギターのパートをカバーしながらこれでもかと盛り上げてくる。まるでJeff Beckバンドに参加していたJan Hammerのような活躍だ(特にBlue Windのよう)。ここではベースの寺沢が本家と同じくメインボーカルを取り、NoBはドラムのKelly Keagyが担当していたコーラスに回る。
中々披露されることがない寺沢のボーカルは藤井とは違った味がある。前曲に続いてギターが売りのこの曲ではSHARAがBrad Gillsのアームを使ったソロをそのまま再現してみせた。この時アームの無いギターを使用していたがテクニックを駆使してあのニュアンスを再現していたのは流石。
続いて河野がソロを取り、アドリブで弾き倒す。元々キーボードソロを取ることが少ないだけに珍しい光景だ。
メロディアスなAmerican Hard Rockに続くのはメロディアスなEuropean Hard Rock「Armed And Ready (Michael Schenker Group)」。原曲のアレンジの中にSHARA節を混ぜたギターはオサメタでしか聴けないArmed And Readyだ。
怒濤の4曲が終わり、ここでのMCでNoBの口からオサメタ初のツアーが発表される。名古屋、大阪、東京と3ヵ所の日程が組まれ、これまで東京のライブに来られなかったファンの要望に答えた形だ。
そしてラストは「Still Of The Night (Whitesnake)」。 藤井と寺沢のへヴィーなリズム、力強いSHARAのギター、英国の様式美を彩る河野のキーボード、NoBの咆哮が組合わさって曲の壮大さを見事に表現している。プロのミュージシャンが本気で取り組み、細部までこだわった結果が聴いて感じとれるラストに相応しいクオリティで客席もこの演奏に酔いしれているようだった。
本編終了後、客席からのアンコールに答えて披露したのは80’sの名曲「The Final Countdown (Europe)」。Joey Tempestを思わせるNoBのボーカルは最後の曲でも伸びやかだ。80’Sを代表する曲でライブが締め括られたが最初から最後までテンションの高いライブを見せてくれた。逆にMCではそれまでの緊張感が嘘のようにまったりしていてその落差が面白い。
終演後の客席を見ると皆笑顔で満足気だ。仕事や家庭で毎日奮闘している大人達がとても清々しい顔をしている。キラキラした当時を思い起こさせ、日頃の疲れを吹き飛ばすような元気をオサメタのライブで貰っているのだ。そんな大人に連れられてきた若いオーディエンスもライブを通してバンドの虜になったようで興奮が冷めない様子。オサメタのライブは初めてという人も圧倒的なライブに魅力されたようだった。
このことからも演奏される曲は老若男女問わず支持される名曲ばかりということが伺え、誰でも楽しめるライブとNoBがMCで話したことが証明されている。
ライブ終了後、藤井は直ぐに客席へと足を運び、観客一人一人へ感謝を述べながら写真撮影に応じたりとファンサービスに勤しむ。そして観客が最後の一人になるまでずっとコミュニケーションを取って見送っていた。藤井と話をしたいがためにずっと順番を守って待っているファンの様子は藤井が皆に愛されていることを物語っていた。
音圧が心地よく身体に響き、下手にアレンジせず原曲を高レベルで再現されるライブ、オサメタはトリビュートバンドとしてやはり一級品だ。そしてメンバーのファンだったら求めてしまう「そのメンバーの個性が出たプレイ」も聴くことが出来る。単純にそのまま再現するだけに止まらず、原曲のイメージを壊さずに原曲に勝るとも劣らないこのメンバーならではのプレイが加わることで曲の緊張感を生み出し、どんな展開をしていくのかわからないスリリングなライブを体験できる音楽好きにはたまらないライブだ。
80年代やその前後の音楽が好きな人であれば間違いなく楽しめる内容だった。また楽器を演奏している人には、原曲を越える瞬間を見ることの出来るクオリティの高さを見て感じて欲しい。例え知らない曲があったとしても現在まで語り継がれる名曲なだけに、初見でも楽しめること間違いない。そのことはリアルタイムで体験していない若いオーディエンスがライブに酔いしれていたことが物語っている。
6月のツアーは更にタイトになったバンドの演奏が聴けるだろう。そしてどんな曲を用意してくれるのか凄く楽しみである。
Live Infomation
6/3(土)名古屋:サウンドノート
OPEN 17:30前物販有り START 19:00
前売4,000円 当日4,500円(ドリンク別)
住所:名古屋市天白区八事山343
TEL:052-838-6188
WEB:http://livehouse-soundnote-nagoya.info
<チケット購入> -3/25発売開始-
チケット郵送販売お問い合わせ先:utasoul2013@gmail.com
6/4(日)大阪:THE LIVE HOUSE soma
OPEN 18:00 START 19:00
前売4,500円 当日5,000円(ドリンク別)
住所:大阪府大阪市中央区東心斎橋2-1-13 大阪屋ジャンボビルB1
TEL:06-6212-2253
WEB:http://www.will-music.net/soma/
<チケット購入> -3/25発売開始-
ローソンチケット Lコード:55571
e+(イープラス)
6/17(土) 東京 ※追加公演決定!:初台The DOORS
OPEN 18:00 START 19:00
前売5,000円 当日5,500円(ドリンク別)
住所:東京都渋谷区本町1-2-1
TEL:03-5350-5800 (14:00~22:00)
WEB:http://1091m.com
<チケット購入> -4/8発売開始-
e+(イープラス)